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イベント2016.04.22戦争をいかに無くすのか、無くすべきなのか・・・ 『追憶』舞台挨拶で小栗監督が語る想い

4月22日(金)、北中城村のシネマライカムにて、映画『追憶』の上映と舞台挨拶が行われ、小栗謙一監督、清水圭、竹若元博(バッファロー吾郎)、ピスタチオの二人が登壇しました。

この作品は第二次世界大戦中の1944年に、パラオ共和国のペリリュー島で起こっていた事実を、当時戦地に赴いた兵士、その遺族らの証言や残された資料をもとに描くドキュメンタリー作品です。美輪明宏さんのナレーションが心に響き、時に激しく、悲しい小林研一郎氏のピアノの旋律が作品を強く印象づけます。

劇中では、一万人以上の日本兵が犠牲となった島で、何が起こっていたのかを、当時を生き抜いた元日本兵の土田喜代一さんをはじめ、元アメリカ軍兵士、島の住人らが証言。アメリカ国防省から提供された貴重なフィルムを中心に、激しい爆撃音、血で染まる戦場の様子など、思わず目を背けたくなるような光景が映し出されます。戦場から兵士が家族に宛てた手紙の中では、心配をかけまいとする言葉が並べられ、激しい戦いの中、家族を想う様子を伺うことができ、戦争とは何か、生きるということ、命の大切さについて改めて考えさせられる作品となっています。

上映後、舞台挨拶に登場した清水圭は開口一番「考えさせられる作品」とつぶやくと、ピスタチオの伊地知も「目を背けたくなる映像がたくさんありましたが、しっかり受け止めたい」と神妙な面持ちでコメントしました。

そもそもなぜこの映画を作ろうと思ったのかという質問に、小栗監督は、2015年に天皇皇后両陛下が戦没者を慰霊するためにペリリュー島を訪問するニュースを受けて、戦後70年の節目になぜペリリュー島だったのか、そこで何があった島なのか疑問に思ったことが制作のきっかけだったと話しました。

清水が「戦闘中の映像は全て本当にペリリュー島のものなんですか?」と疑問をぶつけると、小栗監督は「そこで起きている映像を使わないと嘘が入ることになるので、真実を伝えるためにも全て本当の映像を使いたかった。アメリカの国防総省に手紙を書いて、映像がないか確認したらペリリュー島の映像が40時間あるというので、使わせてもらいました」と映像秘話を明かしました。そこですかさず清水が「でも、本当にペリリュー島だとどうして分かったんですか?」と投げかけると「通常の映画というのは、各シーンを撮影する前にカチンコに日付や場所を書いて、編集時に分かりやすいようにしているんですが、国防総省にあった映像もそれと同じように映像の最初にカチンコに情報が記されていたので、これは紛れもない証拠だとなったんです」という小栗監督の回答に会場からは驚きの声があがっていました。

バッファロー吾郎の竹若が「美輪明宏さんのナレーションが印象的でしたが、現場ではどうでしたか?」と尋ねると、小栗監督は「美輪さんにナレーション原稿のダメ出しをされ、OKが出るまでに1カ月かかりました。美輪さんは戦争で亡くなった方に対して強い想いを持っている方ですから、亡くなった方に対してどう向き合うかという面が甘いとダメ出しが出ました」と制作時の苦労を語りました。

ピスタチオの伊地知は「戦争は教科書や話でしか聞いたことがない。若い世代にもぜひ観て欲しい」とコメント。小澤は「とにかく戦闘中の映像に衝撃を受けました。当時、戦地にいたのは10代後半から20代で僕より若い人たち。そこも衝撃でした」とショックを受けた様子でした。

最後に、小栗監督は「戦争というのは人を殺す場所。ひとりひとりの人生は、本来幸せに生きてもいいはずなのに、それを奪われる場所なのだと感じました。劇中に出演した証言者のみなさんは90~96歳で、戦争当時は20歳くらい。今でも嫌な思い出でしかないと言っていました。戦争をいかに無くすのか、無くすべきなのかを考えさせられました」とコメントし、舞台挨拶は幕を閉じました。