イベント2016.04.23沖縄のエンタメを世界に発信するには?地元メディアが意見を交わしたパネルディスカッション
壇上には第2部のモデレーターを務める慶應義塾大学大学院の中村伊知哉教授とガレッジセールが登場。ディスカッションに先立ち、アジア各地に住み、日本のエンターテイメントコンテンツを広める“伝道師”として活動する「住みますアジア芸人」の面々が紹介されました。タイ、インドネシア、ベトナム、マレーシア、台湾で活躍するそれぞれの芸人は、1年前の「島ぜんぶでおーきな祭」での初顔見せを行い、各国に出発。今年は実際に住んでいる現地の言葉を交えながら、それぞれの国で番組、CM、俳優業などの活動を行っていることをアピールしました。今回は、間もなく新たにフィリピンへ向けて旅立つ芸人達も駆け付けました。
続いて「沖縄から新しいエンターテイメント文化を発信していくには」との問いをテーマにしたパネルディスカッションを開催。メディア研究者・志村一隆さんや沖縄の各メディアの皆さんが加わり、沖縄を文化発信基地にするための方法、また、そのためにメディアが何をすべきかについて意見を交換しました。
沖縄タイムス社・船越三樹さんは、紙媒体が世界にエンタメ情報を発信していく方法について「ウェブサイトで紹介する記事を英語や中国語に翻訳して発信しては」と提言。琉球新報社・小那覇安剛さんは、沖縄の島々で独自の文化が発達していることに触れ「那覇だけでなく、他地域のエンタメにも触れてもらう必要がある。さまざまな人がいろんな現場で頑張っている様子を多角的に紹介していきたい」と話しました。
琉球朝日放送・池原あかねさんは「沖縄ローカルで『ノブコブ吉村のとりあえず!』という番組を開始した。いずれ広く発信できれば」と期待を込めてあいさつ。琉球放送・宮城卓志さんは、沖縄のエンタメ文化を発信するうえで「“人材”がキーワードになる」と発言。地元クリエーターが作品を発表する場を提供したり、制作番組をタイやハワイで放送していることを紹介しつつ、この流れをどう広げていくかが課題だとしました。沖縄テレビ・山里孫存さんは、番組を作るうえで「地元向けの番組をほかの地域でそのまま放送しても面白さが伝わりにくいときがある」として、沖縄らしさの伝え方が重要だと話しました。
これらの意見をふまえ、メディア研究者の志村さんは「アジアの人と仕事をすると、個人の人脈で他国の人を紹介されることも多く、国を越えた人材ネットワークを持っていると感じる」と述べ、人材ネットワークづくりの重要性を指摘。吉本興業が沖縄に設立予定のエンタメ人材を育てる学校法人について「クリエーターだけでなく、ビジネス側の人間のネットワーク作りも大事だ」と提言しました。
ディスカッションを終え、モデレーターの中村教授は「大きな未来を感じた」、ゴリは「沖縄を訪れた皆さんに知識や文化もお土産として持ち帰ってもらいたい」と総括。エンタメの島・沖縄の未来を見据える重要な意見が交わされ、大変有意義な場となりました。