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イベント2016.04.24「この作品は壮大な予告編」と中島監督が時代劇への更なる挑戦を語る『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』の舞台あいさつ

4月24日(日)、那覇市の桜坂劇場ホールBで特別招待作品『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』の舞台あいさつが行われ、中島貞夫監督、一ノ瀬文香が登壇しました。

『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』は、時代劇の歴史的変遷を踏まえながら、評論家・俳優・殺陣師へのインタビューを交えたドキュメンタリー映画。ラストシーンでは中島監督が今作りたいと思っている要素を盛り込んだ、本格的なちゃんばらシーンを収めた、“ちゃんばら”の面白さを徹底的に追求した作品です。

上映後に行われた挨拶で、中島監督は「ちゃんばらは日本の貴重なパフォーマンス芸術。それが消えそうなことに危機感を抱いている。いかにちゃんばらが素晴らしいものであるかということを再確認してほしいと思いこの作品を作った」と作品に込めた思いを話しました。続けて中島監督は「忍術はいろいろな戦い方があるが、ちゃんばらは真剣のみ。その刀に、持ち手の憎しみや執念や、時には愛さえもすべての感情が入っている。これができるのは日本しかない」と、美学とも言える、ちゃんばらの魅力を語りました。また、「戦後GHQがちゃんばら映画を禁止したのは、神風特攻隊が日本刀を持っていたことや、侍が日本刀を持つ時は自決用の短刀も持つことなど、日本刀に込められた精神的要素に底知れぬ恐怖を抱いていたからだ」と、日本人と日本刀の深い関わりについても説明しました。

伊賀流手裏剣打選手権大会の団体戦で優勝経験がある一ノ瀬は、「忍術やアクションを習い始めて2年になりますが、この映画を見てショーではなく真剣なちゃんばらをやりたいと思いました」と話し、中島監督に「まずは斬り役で入ったらいいよ。殺陣は斬られ役が難しいから、プロの斬られ役相手に刀を振ったら勝手に合わせて倒れてくれる」とアドバイスを受けていました。その流れから中島監督が「斬り合いをするときのコミュニケーションは本当に難しい。0.5秒ずれたら、まったく刃先が当たらなかったり、逆に当てすぎてしまう。人間関係が希薄になってきている現代だからこそ、立ち回りが持っている密接さが重要になってきている。人間としてギリギリまで相手とのコミュニケーションを感じてほしい」と、殺陣の持つコミュニケーション力についても語っていました。

最後に、これからの抱負を聞かれた中島監督は「戦後の映画は死から逃れることだけを考えてきた。けれども、日本映画の中で生と死をしっかり描こうと思ったときに、ちゃんばらは必要となってくる。この映画は壮大な予告編のようなものなので、各地で上映しながら、次は本当のちゃんばら映画の舞台あいさつで皆さんとお会いしたい」と語り、「京都は日本映画のふるさと。沖縄はかつて日本映画と縁遠かったので、(京都で行っている京都国際映画祭と)双方が手を組んで、新しい映画が作れるのではないかと期待しています」と、今後の日本映画の行く末にも思いを述べ、映画人の貫録あふれる挨拶で締めくくりました。